第十三章

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「いや、あの、 ぶつかって危ないかと思って・・・。ほんとすみません。」 「ううん、気を使わせてごめんなさい。」 しまった・・・。と後悔しても遅い。 数十センチの距離が数十メートルに変わったような気がした。 それからお互い無言のまま歩いた。 そうこうしているうちに駅へと着いた。 「それじゃ、今日はごちそうさまでした。本当にどうもありがとう。 おやすみなさい。」 「俺、送っていきます。」 「時間まだ遅くないし大丈夫だから。」 「でも・・・。」 「本当に大丈夫。 おやすみなさい。」 そう言って一礼すると彼女は改札に歩いていってしまった。 数十メールの距離を縮める事ができないまま帰ってしまった。
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