第十六章

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ダイニングテーブルで料理の残りをつまんでいると、海斗がやって来た。 「ひとりで何食べてんの?」 「ちょっと疲れちゃって・・・。」 苦笑いすると、 「俺だって疲れたよ。 でも人脈を広げるには毎年いい機会だから、ビジネスだと思ってやってるよ。」 「そっか・・・。 ボストンに行ってる時も帰って来たもんね。」 冷蔵庫からミネラルウオーターを出して、半分ほど飲んだ海斗は、 「なぁ、今日さ、涼と話してみたら?」 「・・・・・・。」 「何度か言ってるけど涼は月菜の事、本気だと思う。」 「・・・・・・。」 黙っている私をよそに海斗は更に続けた。 「嫌なら嫌って、はっきり言ってもいいんだし。 月菜が思ってる以上に、俺よりも涼は大人だよ。」 大人って・・・。海斗だって大人でしょ。 最後のフレーズになぜかおかしくなった。
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