第ニ章

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目の前にいる俯いた人は全然変わっていなかった。 確か・・・今は30歳のはずだ。 すぐに左の薬指を見た。 指輪はしていない。 でも結婚しているはず。 そんな事はどうでもいい。 何か言わなくては。と思うのに次の言葉が出てこない。 そう思っているうちに 「失礼します。」 と言い、彼女は俺の目の前から去っていってしまった。 後を追いかけなければと思った。 でも・・・ その後ろ姿はなぜか俺を拒否しているように見えた。 言葉少なげに俯いたままで俺を一度も見なかったな。 俺のことなんか頭の隅にも残ってないんだろうか。
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