第二十章

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「本当に送っていかなくてもいいですか?」 「大丈夫よ。 明日からお互い仕事なんだし。」 遊園地を出てから、ぶらぶらと下町散策をして少し早めの夕飯を食べて最寄りの駅へと来た。 「もんじゃと焼きそばが腹の中で踊ってる感じですよ。」 「涼くん、すごい食欲だったもの。」 「月菜さんが、焼いてくれたから旨さが違ったんですよ。」 「お世辞が上手。」 そう言うと、今まで笑っていたはずなのに今度は真面目な顔をして、 「また誘ってもいいですか?」 と聞いてきた。 一緒に過ごせる時はできるだけ逢った方がいい。 そしてたくさん話をして理解しあった方がいい。 「はい。」 と答えた。 私を改札口まで見送ってくれた涼くんは、振り返ってもまだ立ち去らずにいた。 振り返ったのがわかると周りを気にする様子もなく大きく手を振っている。 見た目とのギャップに、何だかおかしくなった。
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