第二十章

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「研修お疲れさまでした。」 「お仕事お疲れさまでした。」 知っている店が駅の近くにあることを話すと、そこへ行きたいと迷う事なく決まった。 「ビジネス街にこんな良い店があるなんて知らなかったです。」 「本社に来た時とか、同期が集まって飲む時に使ってたりしたから。」 嬉しそうにしている彼を見て、この店を選んで良かったと思った。 この一週間、話が出来なくて辛くて仕方がなかった事、その辛さを紛らす為に仕事に没頭した事、 おもしろ可笑しく話す彼は本当に楽しそうだった。 「あのね・・・。」 「はい?」 「過ぎちゃったけど、これ。」 「えっ、これってもしかして・・・。」 さっき買ったチョコレートの小さな箱を差し出した。 「ごめんなさい、バレンタインに渡せなくて。」 「マジで嬉しい。」 小さな箱を満面の笑みで受け取ってくれた。
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