第二十章

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「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 妙な緊張感に包まれて、二人とも黙ったままコーヒーを啜っていた。 「チョコ、見てもいいですか?」 沈黙に耐えきれなかったのか、彼が聞いてきた。 「どうぞ、どうぞ。」 ベタな返事しかできない私。 小さな箱を開ける姿をじっと見ていると、 「そんなに見ていられると、穴が開いちゃいますよ。」 「・・・・・・。」 「わっ、うまそ。 では、いただきます。」 と言って、ひとつ口に入れた。 あっ・・・。 「食べたいですか?」 多分、物欲しそうな顔をしていたんだと思う。 チョコレートが好きだから・・・。 今、彼が口にしたチョコは特に一番好きなものだから。 「じゃ、ひとつあげますね。でもその前に。」 彼の言葉と一緒に視界が遮られた。
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