第二十一章

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「どうぞ。」 「おじゃまします・・・。」 とうとう来た。 心臓が激しく波を打っている。 異常なまでに緊張した俺は、靴を脱いだまま動けないでいた。 「どうぞ。」 もう一度、彼女に促されて部屋へ入った。 「何がいいかな? コーヒーじゃなければ、ビールもあるけど。」 「コーヒーでいいです。」 落ち着かない俺は、いけないと思いつつ部屋の中を見回してした。 見つけてしまう不安も抱えながら・・・。 そうしていると突然、携帯電話が鳴った。 俺の? いや、彼女のだ。 「月菜さん、携帯鳴ってる。」 携帯を手にとり俺に向かって 「海斗から、なんだけど・・・。」 そう言って、少し困った顔をした。 「気にしないで、出てください。」 とは言ったものの、なんでこんなタイミングであいつは架けてくるんだよ。と呪いたくなった。
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