第二十一章

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彼女の部屋を出てから、お互いに無言のままだった。 最初に喋ったのは海斗で、 「車、近くのコインパーキングに停めてあるからさ。」 「じゃ、俺は駅まで歩いていくから。」 そう言って歩き出そうとした俺に、 「まだ電車あるよな?」 「あるけど。 どうかしたのか?」 「ちょっと話があるからさ。」 暗い車内にはFMからの音楽が流れていた。 男ふたりで車の中で話をするなんて初めての経験だ。 「今日は悪かったな。」 「面白がってただろ。わざとらしくさ。」 「まさか涼が居るなんて思ってなかったからさ。 近くまで来て電話したのがまずかったな。」 「ほんとにオマエの事を呪ってやろうかと思ったよ。」
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