第二十ニ章

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「外ばかり見ていないで、俺を見てもらえませんか?」 耳元で囁くように言うと、私の身体を反転させて自分の方へ向けさせた。 恥ずかしがる歳でもないのになぜか顔をあげられなくて、そのまま俯いていると 「顔、あげて・・・。」 妙に艶っぽい声で彼が言った。 それは、これから起こることを予告しているような響きだった。 「キスしてもいいですか?」 今さら聞いてくるなんて。 意地悪されているような気がして、わざと首を横に振ると、 「ダメって言っても、もう我慢できない。」 「だって、涼くん・・・」 私の言葉を遮るように、彼の熱い唇が私の唇を塞いだ。
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