第二十ニ章

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「あぁ、真奈美か。」 「お兄ちゃん」と呼んだ声の主は、彼に似た女性だった。 美人・・・。 「えっ、何?実家に来たの?」 「ちょっと寄っただけだよ。」 「帰っちゃうの?」 「悪い、今日はちょっと。 また時間作って来るから。」 二人の様子を見て繋がれた手を離そうとしても、そうさせてはくれず、 「こちら、森下月菜さん。 海斗のお姉さんだ。」 「海斗さんの?」 一瞬、冷たい視線が投げられた気がした。 「月菜さん、妹の真奈美なんです。」 「初めまして、森下月菜です。」 妹と紹介された女性は、にっこりとした顔で 「はじめまして、谷口真奈美です。」 と言った。 冷たい視線の欠片なんて何一つ残ってないような、やわらかな微笑みで。
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