4130人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、真奈美か。」
「お兄ちゃん」と呼んだ声の主は、彼に似た女性だった。
美人・・・。
「えっ、何?実家に来たの?」
「ちょっと寄っただけだよ。」
「帰っちゃうの?」
「悪い、今日はちょっと。
また時間作って来るから。」
二人の様子を見て繋がれた手を離そうとしても、そうさせてはくれず、
「こちら、森下月菜さん。
海斗のお姉さんだ。」
「海斗さんの?」
一瞬、冷たい視線が投げられた気がした。
「月菜さん、妹の真奈美なんです。」
「初めまして、森下月菜です。」
妹と紹介された女性は、にっこりとした顔で
「はじめまして、谷口真奈美です。」
と言った。
冷たい視線の欠片なんて何一つ残ってないような、やわらかな微笑みで。
最初のコメントを投稿しよう!