第二十四章

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「森下さん、どうしたの? もしかして酔った?」 「ううん、大丈夫。」 「月曜日から飲んじゃって、今週持つかしらね?」 「平気でしょ。」 異動前最後の研修の初日、まだまだこれからだというのに、今夜は富沢さんと二人で飲みに行った。 「金曜日は打ち上げだから、全員参加なんだよね?」 「みたいね。」 「森下さん、次の日引っ越しでしょう。」 「そうなんだけど、おまかせパックにしちゃったから楽なの。 ほんとの身の回りの物と貴重品だけ纏めればいいから。」 「旦那と手伝いに行こうか?」 「ありがとうね、でも大丈夫だから。 気持ちだけ受け取っておくね。」 そう、週末に引っ越しを控えていた。 前日まで研修になってしまう関係で、楽な方法を選んだ。 と言っても引っ越しは大変な重労働になる。 会社の人以外には誰にも話していなかった。 もちろん彼にも・・・。 今となっては話さなくて正解だった気がする・・・。
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