第二十四章

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「待って、月菜さんっ。」 歩き出した私は不意に腕を掴まれ、そのまま彼の胸に引き寄せられた。 「えっ、何?」 「行かないで。」 「ちょ、ちょっと人が見てる。」 「そんなの関係ない。」 「離して。」 「離したくない。」 「とにかく一度離して。」 「離したら、逃げてしまいますよね。」 「・・・・・・逃げないから。」 「・・・・・・わかりました。」 それまで強く抱きしめられていた腕がゆっくりと解かれ、私は彼の身体から離れた。
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