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「待って、月菜さんっ。」
歩き出した私は不意に腕を掴まれ、そのまま彼の胸に引き寄せられた。
「えっ、何?」
「行かないで。」
「ちょ、ちょっと人が見てる。」
「そんなの関係ない。」
「離して。」
「離したくない。」
「とにかく一度離して。」
「離したら、逃げてしまいますよね。」
「・・・・・・逃げないから。」
「・・・・・・わかりました。」
それまで強く抱きしめられていた腕がゆっくりと解かれ、私は彼の身体から離れた。
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