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あのまま帰すことができなくて、とりあえず、家へ帰ってきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
黙ってコーヒーを飲む彼の姿は、少し疲れているように見えた。
「あの時の事は本当に何でもないんです。」
「・・・・・・。」
「真奈美に嵌められたっていうか、あれは事故にあったみたいなものなんです。」
「・・・嵌められた?」
それから彼は、あの夜の顛末を話しだした。
「偶然も時として皮肉なものね・・・。」
「まさかあんな所で会うなんて思わなかった。」
「私だって・・・。」
「俺、あの日からろくに眠れなくて。
昨日もらったメールを見た時、もう逢えないかもしれないって思って。
そう考えだしたら、我慢できなくて・・・
だから今日来たんです。」
「もしかしたら、私が帰って来なかったかもしれないのに?」
「そうしたら、明日もまた来るつもりでした。」
「一歩間違えば、危険人物になるところだったかもしれないのよ。」
「でも・・・、
こうして今、目の前に月菜さんがいるって事だけで俺はもう何もいう事はないです。」
「涼くん、ごめんなさい。」
「ごめんなさいって・・・月菜さん?」
信じることができなくて・・・、と言葉にできなかった。
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