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「月菜さんに抱きしめて欲しいんです。」
その切なげな表情を見ていると、なぜだか私まで胸が痛くなってくる。
大の男がこんな風に言ってくるなんて・・・。
何がそうさせるの?
理由はどうであれ、今は彼の願いを叶えるのが一番だと思う。
グラスをテーブルに置き、彼の前に向き合って座った。
肩に掛かっているストールを取り、ゆっくりと背中に手をまわす。
ドクン・・・
ドクン・・・
密着した場所から、心臓の音が伝わってくる。
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