第二十五章

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今からだと乗り換えしても二時間ちょっとで着くか・・・。 新幹線に乗る前に連絡しておこうと携帯を手にした。 逢うまでにはあと数時間かかる、その前にどうしても声が聞きたい。 「はい、もしもし。」 「あっ、涼です。」 心拍数が一気にはね上がった。 「出張お疲れさまです。」 「ありがとうございます。 あの、これから新幹線に乗るんです。 二時間ちょっとくらいかかるんですけど・・・ どうしても、今夜逢いたいです。」 「はい。」 「いいんですか?」 「うん。」 よしっ、今夜逢える。 思わず小さなガッツポーズをしてしまった。 「そうしたら、途中で降りて乗り換えするんで、もうちょいかかるかと思います。」 「あのね、 途中下車しないで終点まで乗ってもらいたいの。 私、迎えに行くから。」 「えっ?迎えに?」 「そう。迎えに行くから。」 土産も買った。 時間通りであれば、二時間半で着く。 それにしても何で終点なんだろう。 迎えに来てくれるんだったら、途中下車の方がいいはずなのに。
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