第二十五章

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「何が食べたい?」 ねぇ、月菜さん。 そんな聞き方しちゃダメだよ。 答えなんて決まってるんだから。 その答えを言ったら、 きっとあなたは俯いてしまうけど。 思わず言いそうになるのをぐっとこらえて、ごくごく普通に答えた。 「さっぱりしたものがいいですね。」 「・・・お蕎麦とか、おうどんとか?」 「それ、月菜さんが食べたいものですか?」 「・・・はい、そうです。」 素直に言えばいいのに。 「じゃあ、蕎麦屋で決まり。」 「・・・いいの?」 「はい、俺も蕎麦が食べたいですから。」 「ありがとう。」 でも、本当に食べたいのは・・・。 あなたです。
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