第二十五章

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「まだちょっとだけ、ごちゃごちゃしてるんだけど。」 彼女の新しい家へきた。 「思ったより片付いてるんですね。」 「すごいでしょう?」 ちょっと得意気な顔をしている。そこで威張ってもね・・・ 部屋の隅に段ボールも2つしかない。今日引っ越ししたとは思えないほどすっきりしているのを見て少し驚いた。 「業者の他は全部ひとりで?」 「ううん、海斗が来たの。」 「海斗が?」 「一応、実家には話しておかないといけないと思って。 朝一で連絡を入れたら、手伝うからって半ば強引に来たの。」 そうだよな。 家族だもんな。 話すのは当たり前だし、手伝うのも当然なわけだし。 でも・・・ なんだか、モヤモヤするものがあった。 「一番じゃないんだ。」 「えっ?」 「招き入れられた順がニ番目。ってことです。」 「・・・・・・。」 「ちょっと、悔しいかな。」 「・・・ごめんね。」 急に意地悪な事を言って、困らせたくなった。 でも本当の事だから。 どこかで海斗に嫉妬している。 弟に嫉妬するなんて、おかしいとは思う。 でも、彼女に対するアイツは弟の域を超えているから。
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