第二十五章

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「コーヒーでも淹れる?」 彼女が聞いてきた。 俺だっていつまでも拗ねたりはしない。 少しだけ、意地悪したかっただけなんだ。 嫉妬なんて、やっぱり馬鹿げてるな。 「コーヒーじゃない方がいい? ビールの方がいいかな?」 「あっ、それじゃビールで。」 彼女がキッチンに立っている間、部屋を見回した。 前とそんなに変わらない雰囲気の部屋。 俺自身が馴染むのは、いつになるんだろう・・・。 「大したつまみじゃないんだけど。」 「十分ですよ。 蕎麦も食べたばかりだし。」 「いただいたお土産は、また後で食べようね。」 「もちろんです。」 彼女のちょっとした一言が嬉しい。 また後で・・・って事はこんな風にふたりで過ごす時間を予想させてくれる。
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