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俺は彼女が部屋に戻ってきても、すぐには気がつかなかった。
「………くん、涼くん?」
名前を呼ばれて、ハッとした。
そして今、呼ばれても気がつかないほど考えていた事にひとり慌てる。
「どうかしたの?」
「……。」
彼女の問いかけに言葉がすぐに出てこない。
そんな俺を見て、近づいてくる。
手にはミネラルウォーターのペットボトル。
「はい、これ。」
差し出されたボトルを受け取るのではなく、俺は彼女の腕を掴んで引き寄せた。
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