第二十五章

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不意討ちの行動に、バランスを崩した彼女が倒れ込んでくる。 俺まで崩れそうになるが、必死で体勢を整え彼女を受け止めた。 「ちょ、ちょっと…涼くん?」 風呂上がりの彼女は、普段の香りとは違う甘い香りを纏い、俺の理性を揺らす。 今、こうして腕の中にいる。 それは確かだ。 不安の種は、ひとつひとつ消していけばいい。 「どうしたの?」 「なんでもないです。 ただ、こうして月菜さんにくっついていたいだけです。」 「でも…、私、重いし…。」 胡坐をかいた俺の足にすっぽりと収まっている彼女。 後ろから回した腕に逃れることもできず、もぞもぞと動く。 「平気ですよ。 そんなに動かなくても大丈夫。」 「でも…。」 と言って振り返ったその瞬間、軽くキスをした。 .
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