第二十五章

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今日もずっと一緒にいたい俺は、朝食を食べながら聞いた。 「月菜さん、今日これからなんですけど…。 いい天気だし、ちょっと出かけませんか?」 「…うん。」 「本当に? あっ、でも引っ越しの片付けしないとダメかな…。」 「それなら明日でも大丈夫。 ……休暇を取ってあるの。」 隣を歩く彼女はヘッドホンから流れてくる解説に真剣に聞き入っているようだった。 都会のど真ん中だというのに喧騒からかけ離れた場所。 此処が本当に都心なのか、疑いそうになる。 さっきから話したくて仕方ないのに、あまりに真剣なので話しかけられない…。 音声ガイド恐るべし。 借りるのを勧めて失敗した…。 ちょっとした敗北感…。 俺は音声ガイドに負けてしまっている…。 もう、失笑するしかなかった。 .
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