第二十五章

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「でも、すごい偶然っすよねー。」 マズイ…。 中村の奴、変にテンション高くなってる。 奇跡に近い偶然で、中村と彼女の同僚さんに出くわした。 そして俺の意に反して、昼飯を一緒にとることになってしまった。 今、テーブルに互いに向かい合って座っている。 「俺と脇本って高校の頃からの付き合いなんですよ。 で、脇本と森下さんが同じ職場で、森下さんは谷口の……。」 「恋人だよ。」 言ってやった。 「見せつけますねー、谷口くんったら。」 少し黙っていられないかな。 本当にテンション高くて追いついていけない。 明日、会社で懲らしめてやるしかない。 真向かいの中村に睨みをきかせたが、涼しい顔をして気付かないフリをしている。 ふと、斜め前に座る同僚さんの視線を感じた。 気のせいか、敵意のある視線…。
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