第二十六章

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話し出すきっかけがつかめずに、ふたりとも黙ったまま歩いていた。 黙っていると周りの視線に否応なしに気付く。 身に覚えのある視線とはまた違うもの。 並んで歩いている私達に向けられる容赦ないもの。 薄々わかってはいたけど・・・ 視線が痛い・・・。 やっぱり不釣り合いなんだ。 涼くんは、こうして歩いているだけでも目立つ。 隣には、どう見てもバランスの悪い私。 何だか自分が惨め・・・。 涙が出そうになって、今はこれ以上一緒に居たくなかった。 サヨナラしようと思った矢先、 私の左手を涼くんの手がふわりと包んだ。
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