第二十六章

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「怒ってますか?」 見上げると涼くんが少しバツの悪そうな表情(カオ)をしていた。 「怒ってないけど・・・。」 「ちょっと言い過ぎたって、反省してます。」 「でも・・・、涼くんが感じてる事なんだよね? ちゃんと言ってもらってよかったって思ってる。 心が見えない、か・・・。ちょっとキツかったかも。 きちんと言葉にして伝えなければわからないのに、私はそれさえも出来ない事が多いんだけど・・・。」 私は人と距離を置くことが当たり前になってしまっている為に、常に一定のラインをひいている。 そのラインからはみ出る事も、進入される事も好まない。 まっすぐな彼には、そんな私が嫌だったのかもしれない。 でも、ごめんなさい。すぐには変えられそうにないの。 それに・・・ 今置かれている状況が、さらに私とあなたの距離を大きくしてしまっている事に気が付いてないよね・・・。
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