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「これから俺のうちへ行きませんか?」
「今日はやめておこうかな。
涼くんも出張で疲れているでしょう?」
「俺は平気です。」
「無理しないで。
ゆっくり休んでね。」
そう言うと、少しだけ繋いだ手に力が加わった感じがした。
「月菜さん?
やっぱり何か変です。」
「ううん、何も変じゃないから、ね。
今日は本当にありがとう。
カップ、嬉しかった。
・・・それじゃ、私はここから地下鉄に乗って行くから。」
繋がっている手を静かに離した。
「またね。」
「月菜さん。」
私の名前を呼ぶ涼くんの事は見ずに地下鉄へと向かった。
チクチクした痛みが、だんだんと大きくなっていくような気がして涙が溢れてきそうになった。
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