4129人が本棚に入れています
本棚に追加
/525ページ
約束の3日後。
「いつ戻ってきたんだ?」
「7月。
あと1年いるはずだったのが、急に呼び戻されてな。」
俺は6月まで海外勤務をしていた。
辞令が出た時は赴任延長希望を出そうかと思っていたが、今回の事を思えば出さずにいて良かったとつくづく実感した。
久しぶりに会った海斗は、相変わらず格好良くスーツを着こなしていた。
高校生の頃から海斗のスマートなところは、何時になっても変わらない。
感心している場合じゃない。
今夜はあの人の話をする為にこうして会っているんだから。
「月菜さんと会ったよ。
たまたま見かけて、俺から声をかけたんだけどな。」
「そっか。」
「彼女、結婚したんじゃなかったのか?」
「・・・・・・。」
一番聞きたい事を最初にぶつける。
「もし・・・
今、独りだったら・・・」
「涼、オンナいねーの?」
「向こうに行ってるあいだに別れた。」
「そっか。」
そっか、そっかとばかり言ってないでまともに喋ろよ。
「俺のことはいいから、月菜さんのことを教えてくれよ。」
「・・・・・・。」
「もう聞いてもいいだろ。
あの時から、時間だってだいぶ経ったろ。」
「・・・そうだな。」
最初のコメントを投稿しよう!