第四章

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約束の3日後。 「いつ戻ってきたんだ?」 「7月。 あと1年いるはずだったのが、急に呼び戻されてな。」 俺は6月まで海外勤務をしていた。 辞令が出た時は赴任延長希望を出そうかと思っていたが、今回の事を思えば出さずにいて良かったとつくづく実感した。 久しぶりに会った海斗は、相変わらず格好良くスーツを着こなしていた。 高校生の頃から海斗のスマートなところは、何時になっても変わらない。 感心している場合じゃない。 今夜はあの人の話をする為にこうして会っているんだから。 「月菜さんと会ったよ。 たまたま見かけて、俺から声をかけたんだけどな。」 「そっか。」 「彼女、結婚したんじゃなかったのか?」 「・・・・・・。」 一番聞きたい事を最初にぶつける。 「もし・・・ 今、独りだったら・・・」 「涼、オンナいねーの?」 「向こうに行ってるあいだに別れた。」 「そっか。」 そっか、そっかとばかり言ってないでまともに喋ろよ。 「俺のことはいいから、月菜さんのことを教えてくれよ。」 「・・・・・・。」 「もう聞いてもいいだろ。 あの時から、時間だってだいぶ経ったろ。」 「・・・そうだな。」
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