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お赤飯のおにぎりは格別だった。
豆が口の中で踊っている。
ごま塩をきちんとラップに包んで持たせるなんて、母の愛を感じずにはいられなかった。
みんな私を甘やかしてくれる。
海斗もそのうちのひとり。
何も言いだせない私に付き合って、同じようにお赤飯のおにぎりを食べている。
「気を遣わせてごめんね。
大丈夫だから。」
「そうか・・・。」
「引っ越しやら何やらで、ちょっと疲れていたのかも。」
「ふーん。
その何やらって何?」
あ・・・、
突っ込みどころを自分で作ってしまった。
「それは、
言葉のあや。
そう、あや。言葉のあや。」
「連呼しなくてもいいよ。」
うっ・・・・・・。
何を言っても適わない。
「言いたくなった時に、聞くからさ。」
「うん、ごめんね。」
思わず言ってしまいそうになったけれど、こうして海斗が心配してくれるだけでだいぶ救われた気がする。
そして・・・零れそうになっていた涙も、いつの間にか乾いていた。
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