第二十六章

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「おはようございます。」 「おはよう。」 一週間ぶりの出勤。 次々にみんなと朝の挨拶を交わす。 このフロアで、 このメンツで、 仕事をするのもあと二週間くらい。 いざ離れるとなると、何となく淋しさを感じる。 程よい距離を保ちながら、接していたつもりだったのに、気が付けば皆かなり近い存在になっていた。 一通り挨拶を交わし終えたところで脇本さんがやって来た。 「昨日はすみませんでした。」 「大丈夫よ。」 バツの悪そうな顔に可笑しくなる。 「偶然が一度に重なるっていう経験もさせてもらったしね。」 「それは・・・、そうですけど。」 珍しく、あまり浮かない表情の脇本さんだった。 「どこか調子悪いの?」 「いえ、何でもないですよ。」 「それならいいんだけどね。」 「あの・・・ 今日の昼飯、外に行きませんか?」
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