第二十六章

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昼休みの時間になり、私の方から声を掛けた。 いつもは脇本さんがすぐに寄って来て連れ出してくれる。 でも、今朝の雰囲気を考えると私が先に行動を起こした方がいいと思った。 「何処に行く?」 「定食でもいいですか?」 「うん、あの店ね。」 「はい。 何だか魚料理が食べたいんで。」 お昼を一緒にと言ってきたという事は、何かしら話があるんだと思う。 「混んでるかな?」 「まだ12時前なんで大丈夫じゃないですか。」 いつもとは逆に私から話しかけるパターンが続く。 「オーダーもしたし、 さて、お話聞きますよ。」 「・・・・・・。」 「相談かな。それとも他に何かあるの・・・」 「あの人、本当に森下さんの彼氏なんですか?」 私の言葉を遮って話し始める脇本さんは初めてだ。 「そう。お付き合いしてる。」 「お付き合いって・・・、 俺と同い年じゃないですか。」 「そうね。同い年ね。」 「なんで俺と・・・。」 私が冷静さを失っては、話が拗れるかもしれない。 普段とは違う脇本さんの様子に背筋を伸ばす。
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