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軽く深呼吸をした。
「彼がたまたま年下だっただけ。」
「俺にも、
チャンスはあるって事ですよね。」
「チャンスって・・・」
「でも今は、
まだ機は熟していないので我慢しますけど。」
初めて見る表情だった。
瞳が光るというのは、今の彼のような眼を言うんだと思う。
彼が入社してから3年。
男性として意識した瞬間だった。
もう一度背筋を伸ばして、
「もっと他にしなければならない事があると思うんだけどな。
前にも言ったけど、先ず私と同じステージまで上ってきて。
脇本さんはそれだけの実力があるんだから。」
「まずは、追い付いたらって・・・ですか。そこまで行かないとダメっていう事ですよね。
男として見てさえもらえない。
・・・森下さんはいつも厳しいな。」
「私にとって、脇本さんは大事な後輩だから。」
「後輩か・・・。
そうですよね。
俺と森下さんは仲の良い先輩後輩なんですよね。」
「それだけじゃないけど。
脇本さんとは固い信頼関係で繋がってると私は思ってる。」
「うまくかわされたな。」
先ほどまで放っていた光は消え、いつもの穏やかな瞳に戻っていた。
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