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「結婚するって言ったのは嘘じゃない。」
海斗がようやく重い口を開いた。
俺達が高校を卒業する頃には既に結婚の約束をしていた人がいて、
婚約の日取りまで決まっていた。
そんな順風満帆な姉の邪魔は弟としてできるはずもなく、いくら親友の話だからといって背中を押す事は出来なかった。
ところが婚約も済ませ、あとは結婚式だけという段階に来て相手に癌が見つかった。
それも末期に近いもの。若いというだけで進行が早かったのだろう、延命治療しかできなかった。
傍で見ているだけで痛々しい相手と支える姉。
思い出しただけでも胸が詰まる。と・・・
「それからかな、月菜が何に対しても引くようになったのは。」
遠い目をして海斗が呟いた。
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