第二十六章

29/29
前へ
/525ページ
次へ
「でも、考えてみれば森下の家で私だけ違っていたんだよね。 両親も海斗も容姿端麗なのに私だけが違ってた。 あーなるほどな。ってひとりで笑っちゃった。」 そう、私のコンプレックス。 「だからといってどうにかなるものでもないんだけど・・・。 変えられようのない事実なんだし。 涼くんは・・・すごく素敵な人でしょう。 だから私なんかと一緒にいたら、モテ男子としての株が下がっちゃうよ。」 「そんなの関係ないですっ。」 少しだけ声を荒げて涼くんが言った。 「私には関係あるの。 森下の家の事も、コンプレックスの事も。 考えると息が出来ないくらい苦しくなるの。」 ちゃんと伝えなければいけないのに、感情がうまくコントロールできなくなっている。 いつの間にか、ぽろぽろと涙が零れていた。
/525ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4129人が本棚に入れています
本棚に追加