第二十七章

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「そういえば、谷口、主任になるんでしょう?」 「あぁ。」 「おめでとう、同期の中で一番に出世したね。」 「ありがとう。」 秋葉の言う事は、素直に受け入れられる。 それは裏表がないからだ。お世辞もあまり言わない。 中村に限らず、俺に対しても平気で毒を吐く。 おそらく同性には敬遠されるタイプだろう。 でも、俺も中村も秋葉の事は嫌いじゃない。 「あの… 営業部の谷口さんですよね?」 おとなしそうな彼女が、おずおずと口を開いた。 「そうですよー。 彼がみんなの王子様、谷口涼さんでーす。」 俺よりも先に中村が答える。 「君は、何部の誰かなー?」 「経理部の太田恵美です。」 「恵美ちゃんねー。 谷口に何か聞きたい事でもあるのかなー?」 中村のヤツ、何でいちいち語尾を延ばすかな? 秋葉を見ると、呆れた顔をしていた。
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