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乾杯が終わり、皆それぞれに飲み始めていた。
俺達のテーブルでも、中村が秋葉に毒突かれながら場を盛り上げている。
「ほら、恵美ちゃんも飲んで。」
コイツは本当に目配り気配りの利く男だ。
俺にはできない。
中村にビールを酌された経理部の彼女が口を開いた。
「あの・・・、谷口さん。聞いてもいいですか?」
「どうぞ。」
「谷口さんって・・・、彼女いるんですか?」
「いますよ。」
見た様子からすると、きっと誰かに聞いてくるようにでも言われたんだろう。
「その話、私もちょっと興味あるな。」
珍しく秋葉が反応する。
「社内じゃないよね?」
「あぁ。」
「俺、知ってるよ。会ったし、一緒に食事もしたし。」
「それは偶然だろ。」
そうだった、中村は会っていたんだ。
「きっと、谷口の方がぞっこんなんでしょうね。
冷徹な男にそんなやわらかい表情をさせる人なんだから。」
「あぁ。
一生、命懸けで守りたい人だよ。
結婚もするしな。」
「えっ?」
「えーっ?」
中村と秋葉が同時に驚く。
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