第二十七章

21/23
前へ
/525ページ
次へ
「ちょ、ちょっと、 俺、初耳なんですけど。」 「今、初めて言った。」 中村のテンションが一気に上がった気がした。 別に隠すことでもない。 「谷口、ホントに変わったね。」 しみじみと秋葉が言う。 隣に座っている経理部のコは目をぱちくりさせている。 「で、いつ?いつ結婚するんだ? 俺、披露宴の司会したい。スピーチもしたい。」 「まだ先だよ。」 「でもするんだろ?」 「たぶん、式なんかはしないと思う。入籍だけかな。 そういうものを好まない人だから。」 そう、きっと彼女は嫌がると思う。 彼女の思う通りにしたい。 「あー、みんなの王子様が結婚してしまうー。マジですかー。 どれだけの女性社員が泣くことか。」 「馬鹿なこと言うなよ。」
/525ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4129人が本棚に入れています
本棚に追加