第二十八章

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そして金曜の夜。 「カウンターじゃなくてすみません。」 「ううん、大丈夫よ。」 脇本さんに連れられて来た寿司屋は、雰囲気のいい店だった。 寿司はカウンターで。と言っていた私を知っている上で、あえて個室を予約したんだ・・・。 「今日は任せてもらっていいですか?」 「はい、お任せします。」 良いタイミングで運ばれてくる料理に舌づつみを打ちながら、会話は脇本さんのトレーナーをしていた頃の話題になった。 「今だから言うけど、ホントこの人ふざけてるって思ったんだから。」 「俺、真面目にやってましたよ。」 「他の人に対しては、ね。 ちゃんとできるのに、どこか手を抜いているっていうか・・・、私だけにふざけてるって。 私が悪いのかもしれないって真剣に悩んだんだからね。」 「それで、あの言葉が出たんですよね。」
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