第二十八章

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「やる気がないなら、もう来ないで。ってね。 でも、それに続いた言葉に驚きましたよ。 君と心中するつもりで、私も辞めるから。って。」 「だって・・・、 本当にそう思ったんだもの。」 「俺、その時からかな・・・ 森下さんを先輩としてじゃなく女性として意識し始めたのは。」 このタイミングで、そんなこと言う? ようやく個室にした意味がわかってきた。 「それからは、俺も心入れ替えて頑張りましたよ。 早く認めてもらいたくて。 森下さんに褒めて欲しくて。」 「私も心中しないでよかったって思ってる。」 すると、グラスに残った冷酒をぐいっと一息に飲んだ脇本さんが、いつになく真剣な顔をして私を見た。 「結婚するんですか?」
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