第二十八章

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どうして年下男子はこんなにもストレートなんだろう…。 ここ最近の出来事はあまりにも刺激がありすぎる。 独りになってから、必ずしもタイミング良く歩いてきたとは言えない私にとって、今のような現状は信じられない。 「私が脇本さんの気持ちまで、とやかく言うことはできないから。 確かなのは、私は脇本さんとはいい関係でいたいだけなの。」 「わかってます。 俺だって、いつまでも気兼ねなく森下さんの近くにいたいですから。 だけど、最後にわがままをひとつだけ。」 それは、あっという間の出来事だった。 言い終えると同時に、二人の間にあるテーブルを越えて上半身が伸びてきたと思った瞬間、触れるか触れないかくらいの優しいキス。 「・・・っ。」 「離ればなれになっても、忘れられないように森下さんの記憶にしるしをつけました。」 脇本さんはいつもの笑顔に戻っていた。 ううん、いつもに増してすごい破壊力の笑顔。 今のが・・・?わがまま? 頭をフル回転して冷静にし、彼がこうして笑って一生懸命になってもらえるように道筋を作らなければならないんだと自分に言い聞かせた。
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