第二十八章

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30秒って言ったのに1分くらい経ったと思う。 何も言わずに、ただ私を抱きしめたままでいる。 「涼くん?」 「はい。」 「ここ玄関だし、コーヒー淹れるから部屋に行こう、ね?」 「・・・わかりました。」 私は涼くんにがっしりと捕らわれたままコーヒーを飲んでいた。 右肩の上にはちょこんと涼くんの顔。後ろから抱きしめられている状態だ。 「今日は晴れて暖かいから、散歩でもしない? もう散りはじめたかもしれないけど、桜でも見に行ってみようか。」 コーヒーを飲んで寛いでいると思われる様子の涼くんに言ってみた。 このまま、部屋に二人きりでいることよりも、何か気が逸れる場所にいたかった。
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