第二十九章

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なんとなくおかしいと感じていた。 今週の月菜さんは、毎晩のように付き合いがあったらしく、ろくに会話もできなかった。 遠慮したつもりもなかったけど、メールも極力我慢した。 だからこそ、 本当はふたりきりでゆっくりしたかったのに。 今日の月菜さんは、逢ったときから落ち着かない雰囲気を漂わせていた。 何よりも驚いたのは、好きな寿司を蹴ってまで、滅多に食べないような物を食べたがったこと。 もしかすると・・・、 同僚さんと二人で食べたのかもしれない。 あえて昼ご飯って言ってみたものの、間違いなく夜だ。 きっとそうだ。 彼女はポーカーフェイスの割に嘘が下手だ。 嘘をつかない人だから、余計にわかる。 問い詰めたい。 でも、そんな事をしたからといって何になる。 俺と居ない時の彼女まで束縛する権利はない。 ここまでくると自分の器の小ささに嫌気がしてくる・・・。 だけど目の前のこの人だから、こうして掻き乱されるんだ。 そう思った途端、めちゃくちゃ抱きたくなった。
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