第二十九章

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グラスの氷が小さくなっている。 ストローで一口吸ってみると、出来上がった時よりもだいぶ薄くなっていた。 今の俺みたいなのをヘタレというんだろう。 結局抱きしめただけで、キスひとつできずにいる。 少し前までなら、自然な流れでうまくいったのに、やっぱり今日の彼女はどこか違う。 今も後でやればいいような風呂掃除なんかをやってるし。 俺とゆっくりしたくないんだろうか? パタパタと足音をさせ部屋に戻ってきたかと思えば、座る事なく 次の言葉。 「ねぇ涼くん、 ちょっと早いけど、夕飯作ろうかと思って。 お腹の空き具合はどうですか?」 「早く食べたいですね。 あっ、俺手伝います。」 「大丈夫よ、ゆっくりしてて。」 「あっ、でも。」 掃除が終わったと思ったら、今度は飯の支度か・・・。 そばにいたいのに。
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