第二十九章

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「ちょっと・・・涼くん。」 「月菜さん、もしかして俺のこと誘ってますか?」 耳元で囁いてみる。 「誘ってるなんて。 そんなつもりは・・・」 「ないって言わせないですよ。」 無自覚なのだろうか。 少し強引に話を進める。 「たまには冗談でも言おうかと思って・・・。」 「そんなことを言ってもダメ。」 腕を伸ばすと、見下ろす先にある彼女の硬い表情。 俺をじっと見つめる瞳。 少し開いた唇に向かって、そのまま降下する。 マジで!? えっ、なんで? 触れる寸前に顔を逸らした。
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