第二十九章

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押し寄せる欲情の波に置いてきぼりにならないように彼女の唇を貪る。 部屋に響くのは、水音だけ。 息が苦しくなってきたのか、彼女が首にまわした腕を解き身体を離そうとする。 離れがたい気持ちを堪え顔を上げると、そこには上気させてうっすらと赤い顔をした彼女がいた。 「今日は優しくできないかもしれない。」 「・・・ここじゃ嫌。」 彼女を抱き上げて、俺達はベッドへ移った。 お願いだから俺だけを見て。 俺に夢中になって。 声にならない叫びを彼女の身体にぶつけた。
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