第二十九章

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「この前は悪かったな。」 「ほんと。 あの後、同じテーブルになったのをどれだけ後悔したことか。 今日は谷口の奢りっていう事で、私は遠慮しないからね。」 先日の一件で、多大な?迷惑を被ったと言う秋葉にお詫びという名目で年度末の今日、二人で飲みに出かける事になった。 本当は昼飯の方がよかったけど、秋葉がそれを断った。 何故なら、昼飯だと会社の近くで済ませるしかない。 俺と一緒のところを見られるのは、しばらく避けたいらしい。 「それにしても、ウチの女子どもは凄いね。 谷口の結婚宣言のあとでも、そんなの関係ないって感じで騒いでるよね。」 「好きにさせとけばいいんだよ。 俺は結婚するんだから。」 「ふーん、ずいぶんクールな谷口さんですね。 あんたってもしかして二重人格だったりして。」 「そうかもな。」 本当に毒ついた事を言う奴だ。 でも、秋葉には何を言われても腹も立たない。 「それで、結婚に向けて準備は進んでるの?」 「いや、まだ何も。」 .
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