第二十九章

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「あ、誤解しないでね。 中村がペラペラ喋ったとかじゃないから。 話の流れで谷口のことが出て、私が無理矢理聞き出したのよ。」 いくらノリの軽いアイツでも、当事者の居ないところでは、そう簡単に喋らないのは知っている。 つい最近、ひとつだけお喋りが行き過ぎた件があったが。 秋葉の恐ろしさと脅し?が入り混じったような、質問攻めに答えるしかなかったんだろう。 「年上のはずなのに、年下にしか見えないってね。 ほんわかした可愛らしい人みたいね。」 「中村がそう言ったんだ?」 「うん、見るからに谷口がデレッとしてるって。」 「俺が、か・・・。 可愛いだけじゃなくて、冷静で頭の良い人だよ。それに自分自身を飾らない人だな。」 「似た者同士じゃない。」 「いや、足元にも及ばないよ。 仕事もできる人だし、俺と5歳しか違わないのにすでに管理職だよ。」 昨日の話で、彼女が課長に昇進した事を聞いた。 一緒に住めない理由に、今の仕事が落ち着かないと自分の事でいっぱいいっぱいになってしまい俺に何もしてあげられないからと言った。 そんな時こそ傍にいて支えてあげたいと思うのに。
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