第三十章

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「初日はどうでしたか?」 「ん、まあまあかな。」 「その返事だと、初日にして手応え ありっていう感じですね。」 「うん。 様子を見ながらだけど、頑張ってみようと思ってる。 頼りになる同期もいるから。」 私からの電話に、涼くんは何事かと最初は慌てていた。 遅い時間になってしまったのに、 疲れていたはずなのに、 ちゃんと私の相手をしてくれている彼に なんとも言えない気分になった。 「週末は逢えますか?」 「うん。」 「月菜さんの好きなスイーツでも買って、ゆっくり過ごしますか。」 「そうね、ゆっくりしよう。」 一緒に暮らそうと言ってくれた涼くんの申し出を私は断った。 せめて週末はふたりで過ごすことに費やしたいと思っている。 少しずつでいいんだから。 何度となく自分に言ってきた言葉。 そんな自分に、もうひとつ。 ふたりで住むために まずは前進しよう。
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