第三十章

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涼くんと再会してからの時間は、少しずつだけど私に様々な変化をもたらした。 わかっていながら、あえて目をつぶってしまったり、気がつかないふりをしたり。 いけないことだってわかっているのに・・・。 でも、この辺で降参かな・・・。 「あのね、涼くん。 来月、誕生日でしょう?」 「そうです、けど・・・。」 「それでね、・・・。」 勢いをつけるつもりで深呼吸してみる。 「ちょっと月菜さん、寝ながら深呼吸してどうしたんですか?」 「えっ、あ、うん。」 声にしようとした瞬間に聞かれて、思わず言葉を飲み込んでしまった。 「やべ、今何か言おうとしてたんだ。 月菜さん、そういう時ってよく深呼吸するから。 期待しちゃったりしてもいいことですか?」 「ん、どうかな?」 「ちょっと待ってください。 起きて聞きます。 月菜さんの顔を見て聞きたい。」 涼くんが私を抱きかかえるように上体を起こした。
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