第一章

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それでも今日は2冊買うことにした。 あの写真集は諦めたけど・・・ 1冊は好きな作家のもの、残りの1冊はオススメ本コーナーに積まれていた文庫本。 『ねぇ、手に取って』と感じる時がある。 聞こえる訳なんてないのに。 人には感じないフィーリングが本には感じる。 これは私にだけしかわからない事かもしれない。 何言ってんの?って誰かに話したらきっと笑われそうだけど。 手にした2冊を見て、あの写真集・・・やっぱり店員さんに取ってもらえるように頼めばよかったかなと思いながらレジへと急ぐ。 でも・・・ これくらいの高さで?と思われたくない。店員さんがそんな事はおくびにも出さないってわかっているけど、私自身が嫌だから。 頼むと同時に感じるあの苦い気持ちを今夜は味わいたくなかった。 欲しかったら、また来ればいい。 欲しければ時間が経っても気持ちは変わらないはず。 そう自分に言いきかせた。
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