第三十一章

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「一緒に暮らす?」 間違いなくそう言った。 それも、少し得意げな顔して。 かと思ったら、今度は頬を染めて恥ずかしそうにする。 くるくると変わる表情。 そうさせているのが自分だということが嬉しい。 「本当にいいんですか?」 喜びの裏で、今一度確認したくて、 俺は思わずバカな事を聞いてしまった。 それだけでなく、頬をつねって欲しいとも。 子供じみているかもしれないけど、 夢じゃないことをはっきりさせたくて。 確か・・・、 前にもこんなことがあったな。 すると、つねるのではなく、やわらかくて 暖かい手がそっと頬に添えられた。 触れられた箇所が熱を帯びてくる。 まるで、そこに心臓があるかのように 全身の血が集結しそうな勢い。 もしかして・・・ これは俺だけの熱じゃない。 その瞬間、本当だと再確認した。
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