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「涼、今いいか?」
聞こえてくる海斗の声は低く、思わずたじろいでしまう程、冷たいものだった。
「あぁ、大丈夫だけど。」
「・・・月菜が事故に遭った。」
事故?
いつ?
俺と別れてから?
あのまま帰ってないのか?
記憶をフルスピードで逆回転させる。
改札で俺に笑って手を振っていたはず。
「今、親父とお袋が迎えに行って鎌倉に帰っている途中だ。」
なぜ、鎌倉に?
「大丈夫なのか?怪我は?」
「・・・・・・。」
返事が無い代わりに、嗚咽がもれてきた。
「おいっ、海斗っ。
月菜さんは大丈夫なのか?」
「・・・・・・。」
やはり返事は無い。
まさか・・・、嘘、だろ。
「黙ってないで何とか言えよっ。」
いつも冷静沈着で理路整然としている奴が言葉を発せない事自体が、すでに答えとなっていた。
それでも俺は否定の言葉が欲しくて、
頭に浮かんだ一文字を消したくて、
電話の向こう側の海斗に詰め寄るしかなかった。
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